「蒼穹の昴」 著:浅田次郎

 

 

お奨め度:★★★★★

西太后が君臨する落日間近の清国。

「あまねく天下の財宝を手中に収める」と、占い師に予言された

貧しい糞拾いの少年・春児(チュンル)。

「天子様の側らにあって天下の政(まつりごと)を司る事になる」

と予言された春児(チュンル)の兄貴分・文秀(ウエンシウ)。

一緒に都に上った2人は、それぞれの運命を背負い、

互いの道を歩んでいく。

全4巻の壮大なスケールの中国歴史小説。

失礼ながら、浅田次郎さんが、こんなに緻密でスケールの大きな

歴史作品を書くとは、全く知らなかった。

参考の為に読んだ本は、一体、何冊あったのだろうか。

元々好きな作家さんではあったけど、惚れ直しました。

ここ数年で読んだ本で、間違いなくBEST5にランクイン。

鬼のような女だと思っていた西太后が、賢く気の毒な女帝

として扱われていて意外だった。

学生の頃は、世界史なんて、まるで興味が無かったけど、

こんな形で読むと、中国史はとっても面白い。

久々の一気読みで、4巻の最後の方は、この作品を読み終えて

しまうのが寂しかった。

が、続編がある事が判明。さっそく購入。楽しみができた。

 

 

 

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「三たびの海峡」 著:帚木(ははきぎ)蓬生

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価格:660円(税込、送料込)

お奨め度:★★★★★

主人公・河時根(ハーシグン)は、戦時下に朝鮮から日本へ強制連行され、

九州の炭鉱で暴力と辱めを受けながら、強制労働させられた。

後に、河時根(ハーシグン)は、釜山で3軒のスーパーマーケットの経営を

成功させ、実業家となり、穏やかな日々を過ごしていたが、

ある日、在日の旧友から手紙を受け取る。

その手紙を読み、河時根(ハーシグン)は、3度目の海峡を渡る決心をする。

思い出したくもない日本への。その目的とは?

私の大好きな作家、帚木(ははきぎ)蓬生 さんの長編。

毎度の事だけど、帚木さんの作品は、緻密で完成度の高い文章なので、

ご本人の体験談なのかと思ってしまうが、これもフィクション。

フィクションとはいえ、平和ボケの私でも、戦時下で日本人が朝鮮人に

与えた人権無視のひどい仕打ちは、本当にあった事であろうと

想像がつく。

のっけから、重い。。。日本人であるという事が嫌になるような内容。

読むタイミングが難しい。お天気のいい日の散歩の途中とか、

ちょっと疲れていて息抜きしたい時には、読めない。

家で、時間を作り、コーヒーを入れ、本腰を入れて読まなければならない。

ラストも期待を裏切らない。

暗い話ではあるけど、読んだ後には、久々に達成感に浸れた作品。

 

 

 

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「マークスの山」 著:高村薫

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お奨め度:★★★☆☆

精神病患者の水沢には、暗い山と明るい山が、3年交代でやってくる。

暗い山が近づいて来た時、自分の中で、もう一人の残忍で陰湿な誰か

が話かけてきた。「殺せ。」

自分をマークスと名付け、次々と殺人を犯す水沢。

管轄同士のなわばり意識や、上からの圧力で、

思うように捜査ができず、焦る刑事達。

なぜ、上から圧力がかかるのか、被害者達に共通している事とは。

マークスが握る秘密とは。

刑事・合田は、真相をつきとめるべく、戦う。

とにかく、上下左右、ページいっぱいに字がびっしりなので、

読むのに、とても時間がかかった。

文章も重く堅苦しく、日常で使わないような単語の羅列なので、

とても脳が疲れる。

その為、数日かけて読んだせいか、いまひとつ、

臨場感に欠けた。でも、ストーリーは面白かった。

下巻に入ると、刑事・合田側からの描写がほとんどなので、

さらに堅苦しくなる。

犯人逮捕シーンが最終目的では無い警察小説なら、

マークス側からの描写も書いてあったら、もう少し心に響いたかも。

 

 

 

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「カリブの失楽園」 著:フレデリック・ファーサイス

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お奨め度:★☆☆☆☆

カリブ海の英領バークレー諸島の美しい島・サンシャイン島で、

現職の総督が暗殺された。

時を同じくして、マイアミから休暇で釣りに来ていた刑事が、

不審な死を遂げる。

その島に居合わせた外交官・マクレディは、真相の究明に乗り出す。

先日読んだすごく面白かった本の解説で、故・児玉清さんが、

奨めていた作家さんなので、読んでみた。

が、あまりにも普通。ラストに、お~っと思うような、ひとひねりあるの

かなと期待したけれど、それも無い。

ストーリーに吸い込まれるという事も無い。翻訳が良くないのだろうか?

読み終わってから知ったのだけど、この作品は4部作だった。

それも、いきなり、4部目を読んでしまったらしい。

だから、ところどころ、腑に落ちず、のめり込めなかったのかもしれない。

 

 

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「猫鳴り」 著:沼田まほかる

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お奨め度:★★★☆☆

ようやく出来たお腹の子を流産して、心がすさんでいた主婦の元に、

1匹の貧弱な仔猫が現れた。不思議な猫だった。

父親と関係が上手くいかず、心が荒れて行く少年。

少年が公園で会った不思議な同級生と猫。

妻を失い、死が迫った老猫と暮らす初老の男。

猫のモンちゃんが、不思議な存在感で、人々の心に寄り添う3部作。

第1部は主婦の信枝、第2部は少年・行雄、の恐ろしい心の闇が

描かれていて、あまりいい気分では無かった。

夫に「最初は嫌な感じだけど、後半良いから。」と奨められていたので、

読み続けた。

第3部は、信枝の夫・藤冶と老猫・モンとの、じいさん同士の生活が

ほのぼのと、かつ哀しく描かれていて、いい気分で読めた。

猫が飼いたくなった。でも、我が家には文鳥がいるので、無理なんだけど。

 

 

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「ステップファザー・ステップ」 著:宮部みゆき

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お奨め度:★★★☆☆

おかしな双子の兄弟の家に、プロの泥棒が落っこちて来た。

怪我を治療してくれた双子に頼まれ、泥棒は、彼らの

父親代わりをするハメになった。

次々起こる7つの事件、やがて泥棒は、双子に本当の父親のような

愛情を持つようになる。

宮部みゆきさんの作品なので、古本屋で、ついつい手にとってしまったが、

スリルでもサスペンスでもなく、ほのぼのファミリーコメディ作品。

単純で普通なので、頭を使わない読書をしたい時にお奨め。

 

 

 

 

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「数学的にありえない」 著:アダム・ファウアー

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著者:アダム ファウアー
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数学的にありえない〈下〉 (文春文庫) 数学的にありえない〈下〉 (文春文庫)

著者:アダム ファウアー
販売元:文藝春秋
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お奨め度:★★★★★

確率的に絶対勝てるはずだったポーカーで大負けして、借金を作り、

マフィアに追われるハメになった天才数学者・ケイン。

北朝鮮の裏組織との取引でミスを犯し、24時間以内に、

有意義な裏情報を組織に渡さなければ、殺される事になった女スパイ・ナヴァ。

ケインが持つ特殊な超能力を、追いかける政府の秘密組織。

ナヴァは、北朝鮮に渡す情報として、ケインを追いかけていたが、

やがて、ケインと一緒に政府の秘密組織と戦う事になる。

ケインの超能力とは。。。。

題名からの印象で、もっと固くて難しい話なのかと思って読み出したら、

実は、まるでハリウッド映画のような、アクション有り、ロマンスも少々有り、

ドンドンパチパチも有り、超能力も有りの、超ジェットコースター・サスペンスドラマ

だった。

かと言って、お約束映画にありがちな、「つじつまが合わなくても、細かい事は

気にしない単純ストーリー」では無く、確率論、統計学、物理学を織り交ぜた、

緻密なストーリー展開で、この作品の作者はもちろん、翻訳者の矢口誠さんにも

完全に脱帽。

学問的な難しい文言や理論も沢山出てきて、時々、頭の中が「??????」

となったけれど、何回か読み直してみると、「なるほど、へぇ~」と思ったりして、

私が高校生だった時、チンプンカンプンだった物理も、実はものすごーく面白い

のかも、と思わせてくれた。

ラストも期待を裏切らない着地っぷり。

久々の★5つ。

解説は、あの亡き俳優・児玉清さんというのも、びっくり。

児玉さんの知的な文章にも脱帽。

どっかの誰か(私ですが)の読書ブログとは大違い。。。

 

 

 

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「白い犬とワルツを」 著:テリー・ケイ 

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お奨め度:★★★☆☆

主人公・サムは、長年連れ添った妻を突然失う。

自らも、老いた身体に、さらに病を背負う。

子供達は、父親を思い、あれこれと気を使い、世話をやいてくれるが、

サムは、亡き妻を思いながら、一人で暮らす方がいい。

そんな時、白い犬が現れる。

最初は遠くからサムを見守るかのように、やがて、寄り添うようにサムと

暮らし始める。

白い犬は、サムにしか見えず、吠える事もない。

子供達は、サムが、寂しさのあまり幻を見てるのだと決めつける。

物語は、特に大きなメリハリも無く、サムの日々の日記を交えて、

淡々と続く。

退屈と言えば退屈だけれど、なぜか心が休まり、微笑ましくなってくる。

妻が、白い犬の亡霊となり、サムに寄り添っているのだろうか?

と思う部分もあり、サムの子供達も、口うるさいけど、なんだかんだと父親思いで、

サムの友人達も優しい。

哀しい場面もあるが、全体的に優しい作品。

 

 

 

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まんぞく、まんぞく 著:池波正太郎

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著者:池波 正太郎
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お奨め度:★★☆☆☆

時代物の作品。

16歳の時、真琴は、浪人達に襲われて、危ないところを、

ある老人に助けられた。

その時、父親のように慕っていた大事な家来を殺され、

仇を討とうと、真琴は、女ながら剣の道へ進む。

その9年後、真琴は、腕をあげ、剣を使う事が面白くなり、

深夜、覆面をして、酒に酔った侍を相手に、

いたずらをして楽しんでいたが、それが思わぬ事件を

招く事になる。

こてこての「水戸黄門」系時代劇。最後まで読者を裏切らない。

とてもシンプルなストーリーで、2時間スペシャル物の時代劇に

ぴったりな感じ。

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「OUT」 著:桐野夏生

OUT 上  講談社文庫 き 32-3 OUT 上 講談社文庫 き 32-3

著者:桐野 夏生
販売元:講談社
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OUT 下  講談社文庫 き 32-4 OUT 下 講談社文庫 き 32-4

著者:桐野 夏生
販売元:講談社
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お奨め度:★★★☆☆

時給が良いからと、深夜の弁当工場で働くパート仲間の主婦4人組。

働きたくて働いてる訳では無い。皆、お金に困っていた。

こんな生活から、抜けだしたいと、誰もが思っていた。

ある日、そのうちの1人、弥生が夫を殺してしまった。

4人は、心からの友情で繋がっている訳でもなく、なのになぜか、

弥生の夫の死体を、片付ける事を引き受ける。バラバラにして。。

リーダー格の雅子は、なぜ、そんな役を引き受けたのか?

以前、映画になっていた記憶があったので、面白いのだろうと読んでみた。

確かに怖い物見たさの興味を引く題材ではあるけれど、

4人の誰もかれも、私が嫌いなタイプの主婦なので、

読んでいる間中、嫌~な気分だった。

死体をバラバラにする時の描写も、リアル過ぎて気持ち悪い。

どんな終結に結びつくのだろうという興味だけで、読み進めたけど、

えっ!そんな方向?!という終わり方でガッカリした。

映画は、原田美枝子さん、倍賞美津子さん、室井滋さん、

と好きな女優さんばかりだし、多少、内容を変えてあるみたいなので、

映画で観た方が面白いかも。

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«「アフリカの蹄(ひづめ)」 著:帚木 蓬生