「海の底」 著:有川浩

海の底 海の底

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お奨め度:★★★★★

米軍横須賀基地で開催された春の桜祭り。

一般にも開放され、今年も大盛況のはずが・・・・。

湾から這い上がってきた巨大な生物達によって、一瞬にして、

基地は恐怖に陥れられた。

海上自衛隊の実習幹部・夏木と冬原は、桜祭りに遊びに来ていて、

逃げそこなっていた子供達と、潜水艦「きりしお」に立てこもる羽目になる。

救助はいつ来るのか・・・。そして、その巨大な生物とは一体・・・?

有川浩さんの自衛隊3部作の海軍編。3部作の中で一番名作という評判らしい。

空軍編の「空の中」が、とても面白かったので、読んでみた。

期待を裏切らないでくれた。エンターティメント性が高く、ついつい引き込まれ、

あっという間に読んでしまった。

主人公の夏木や、冬原や、子供達のキャラクターもしっかりしていて、バランスも良く、

結局、みんないいヤツで、後味の良い作品だった。

その巨大生物に人間が襲われるシーンは、ちょっと気持ち悪かったけど・・・。

ハリウッドが喜びそうな題材かも。

 

 

 

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「私たちが好きだったこと」 著:宮本輝

私たちが好きだったこと改版 私たちが好きだったこと改版

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お奨め度:★★★☆☆

工業デザイナーとして、いつか独立する事を目指す与志は、倍率76倍の

都心の高層マンションの公団住宅の抽選に、当たった。

そして、そのマンションで、なぜか、昆虫カメラマンの親友のロバと、

飲み屋で知り合った女の子達・愛子と曜子との、奇妙な4人暮らしが始まってしまった。

なんだかわからないうちに、一緒に暮らす事になった男女2組の恋愛物語。

宮本輝さんは、お名前は知っていたけれども、作品を読んだのは、初めて。

文章もセリフ回しも柔らかくて、すんなりスムーズに読めた。

与志君も、ロバ君も、こちらが心配になるくらい、いい人で、それぞれの彼女の為に、

借金が増えていくのに、暗いお話にはなっていない。

でも、自分が女だから、そういう感想になるのか、女性2人に関しては、

ずるい感じがして、あまり良い印象は持てなかった。

TVドラマか、映画にでもなりそうな話だなぁ、と思っていたら、

岸谷五郎さんの企画&主演で、とっくに映画になっていたらしい。

途中までは、いい感じで読んでいたけど、結末が、恋愛物にありがちな、

陳腐な感じで残念だった。

 

 

  

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「ジェネラル・ルージュの凱旋(上・下)」 著:海堂尊

ジェネラル・ルージュの凱旋 ジェネラル・ルージュの凱旋

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お奨め度:★★★★☆

東城大学医学部付属病院の不定愁訴外来・田口公平医師の元に、

匿名の告発文が届く。

将軍(ジェネラル)と呼ばれる救急救命センター部長・速水晃一医師が、

医療器具を納品している業者と癒着していると言う。

患者の命を救う為に、全身全霊を注いでいる速水が、そんな事をするとは、

速水と友人関係にある田口には、信じられない。

病院長から依頼を受けた田口は、調査を始める。

「チーム・バチスタの栄光」「ナイチンゲールの沈黙」の続編。

先日、映画にもなった。

今回も一気に読んでしまった。登場人物のキャラ付けがしっかりしていて、

いろんな人が出てきて、面白い。

実際に医師である海堂さんが書くから、リアリティ抜群。

次々と急患を助けていく、速水部長が、かっこいい。

先日、偶然、ドクター・ヘリ事業は、大赤字だというニュースをTVで見たので、

すんなり、ストーリーに入り込む事ができた。

「医療の採算性」、「医療の正義とは?」「病院を経営する側と、現場の医師との確執」

実際の医療現場が、今現在おかれている苦しい立場を、ど素人の私でも、

想像する事ができた。

なぜ、速水部長のあだ名が「ジェネラル・ルージュ(口紅将軍?)」なのかの

理由は、ちょっとヤボったいというか、無理があるかな・・・と思った。

 

 

 

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「空の中」 著:有川浩

空の中 空の中

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お奨め度:★★★★★

200X年、四国沖上空高度2万メートルで、謎の飛行機事故が、立て続けに

2件起きた。

航空機メーカーの担当者・春名と、目の前で事故を目撃した自衛隊パイロット・武田は、

原因調査に乗り出す。

同じ時期、地上では、謎の飛行機事故で父を亡くした高校生・瞬と、幼なじみ・佳江が、

不思議な生物を拾った。

謎の飛行機事故と、発見された不思議な生物の関連は・・・・?

有川浩さんの作品は、初めて読んだ。これも夫のお勧め本だった。

「分類すれば、SFものかなぁ。」と、夫が言うので、SFがそんなに好きではない私は、

半信半疑で読み始めた。

これがまた、SFもあり、青春もあり、恋愛もあり、人情もありの、てんこ盛り作品で、

てんこ盛りなのに、ちぐはぐ感も無く、全てが上手く絡み合っている。

SF部分は、ハリウッド映画並みのスケールの大きさだけど、青春や恋愛部分は、

ほのぼのしていて、とてもいい感じ。

超久々の、「読み出したら止まらない」&「心地良い余韻」 作品だった。

そして、おまけの物語は、ちょっと涙してしまった。

文句無しの★五つです。  

 

 

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「顔に降りかかる雨」 著:桐野夏生

顔に降りかかる雨 顔に降りかかる雨

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お奨め度:★★☆☆☆

親友のノンフィクションライター耀子が、ある日突然、1億円を持って消えた。

主人公・ミロは、耀子に大金を預けた耀子の恋人・成瀬時男に、

ミロも共犯ではないかという疑いをかけられる。

成瀬のバックには、暴力団がついていた。1億円は暴力団から借りたお金だった。

「耀子は、そんな事をする人間じゃない。」

耀子を信じているミロは、成瀬と協力して、耀子を探し、消えた1億円の謎を

解明する。果たして、事件の真相は。。。。?

1993年度、江戸川乱歩賞受賞作。

前半から中盤にかけてのストーリー展開は、けっこう面白くて、

スイスイ読めた。

描写が気持ち悪くて、眉間にシワを寄せちゃう場面もあったけど。

でも、後半に、あばかれた事件の真相は、ちょっと無理があるような・・・。

事件物の作品だけど、愛だのなんだの、男女間の情のお話も含まれていて、

なんか、陳腐な2時間ドラマのような後味の方が強かった。

 

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「エンド・ゲーム -常野物語-」 著:恩田陸 

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★★☆☆☆

「あれ」と呼んでいる謎の存在を「裏返す」か、「あれ」に「裏返される」か・・・。

主人公・時子は、「あれ」と闘い続けてきた。

さまざまな不思議な能力を持つ「常野一族」の血を受け継ぐ、父と母、その娘、時子。

父は遠い昔に失踪し、母は説明のできない眠りへと落ちて行った。

そして、時子は「洗濯屋」と呼ばれる男・火浦と出会い、

自分達家族の、忌わしい運命の秘密を、探して行く。

「光の帝国」、「蒲公英(たんぽぽ)草紙」に続く、常野物語シリーズ第3弾。

短編集だった「光の帝国」に登場した母娘の話を、長編として展開している。

一言で感想を述べるならば、「独りよがり的で、結局、よくわからなかった。」

というところ。

次から次と、空想の世界が展開され、私の中のイメージ作りとストーリーに対する

理解が、ついていけなかった。

私の理解力が足りないせいもあるが、作品中の説明不足も否めないと思う。

空想が先走っている感じ。

後半は、幾度と、どんでん返しを狙っている風でもあったけど、

さらに、訳がわからなくなって、私には苦痛だった。

 

 

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「蒲公英(たんぽぽ)草紙 -常野物語-」 著:恩田陸

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お奨め度:★★★★☆

東北のとある農村の名家・植村家は、先祖代々、彼らの集落を守る役目を担ってきた。

植村家の末娘・聡子は、生まれつき心臓が弱く、病弱で、ベッドの上で暮らしていた。

聡子の主治医の娘・峰子は、そんな聡子の話相手になる役目を負う事になった。

聡明で可愛らしい聡子様のお相手は、峰子にとって、楽しい日々だった。

ある日、植村家に、不思議な家族がやってきて、離れの「天聴館」に、

しばらく住む事になった。その家族は、奇妙な力を持っていた。

そしてまた、聡子も・・・・。

なぜ、植村家は、その奇妙な家族を、手厚く迎えなければならなかったのか?

なぜ、植村家は、自らを犠牲にしてまでも、集落を守らなければならないのか?

前回読んだ「光の帝国」と同じ、「常野」からやってきた不思議な一族を

題材にした作品。今回は、長編。

「光の帝国」にも登場した、他人の記憶や感情を、自分にインプットする(=「しまう」)

家族。

でも、この作品は、その家族に、というよりも、第2次世界大戦が始まる前の

古き良き日本の時代や風景を書くという事に、重点が置かれているような気がする。

「蒲公英(たんぽぽ)」が、聡子と峰子の楽しかった少女時代の、イメージとなっている。

物語は、歳老いた峰子の回想録という形で、語られる。

冒頭は、峰子の語り調子に慣れなくて、ちょっと読みづらいと思ったけど、

中盤からの展開には、ついつい引き込まれて、最後は、涙してしまった。

「光の帝国」を読んだ時の「せっかくの題材なんだから、長編にすれば良かったのに。」

という不完全燃焼感を、拭う事ができて、すっきりした。

 

 

 

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「光の帝国 -常野物語-」 著:恩田陸

光の帝国 光の帝国

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お奨め度:★★★☆☆

「常野」から来たと言われる人々は、特殊な能力を持っていた。

書物を暗記する力、未来を見る力、遠くの出来事がわかる力・・・・、

その力故に、彼らは、利用されようとしたり、迫害を受けたりと、苦しんできた。

決して、ヒーローなどではなく、ひっそりと普通に生きて行きたい。

そんな「常野一族」の人々を、題材にした短編集。

読者と作家には、相性というものがあると思うが、恩田陸さんの作品を1冊だけ読んで、

なんとなく、「私とは相性が合わないなぁ。」と思っていた。

(うまく説明できないけど・・・)

夫が、この本を、「面白いよ。」と貸してくれたので、

「1冊読んだくらいで、固定観念を持つのはよくないな。」と思い、読んでみた。

特殊な能力を持った「常野」の人々。テーマは、すごく面白いと思った。

短編のひとつひとつの内容が濃くて、短編集にしてしまったのは、

もったいなかったのではないかと思う。

盛りあがってきて、いいところで、ブツっと終わってしまうような・・・。

不完全燃焼的な後味が残った。

文章も、短編ごとに、それぞれ微妙に技法が変えてあるので、

全体的には、同じ題材でありながら、ちぐはぐ、というかバラバラな感じ。

それが良いと思う方もいらっしゃると思うが、私個人としては、

せっかく面白い題材なので、統一感を持たせて、ひとつの大きな作品のような短編集

だったら、もっともっと面白く読めたのではないかと思う。惜しい。 

続編があと2冊ある。現在、読書中。

 

 

 

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「解夏(げげ)」 著:さだまさし

解夏 解夏

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お奨め度:★★★★☆

ご存じ、シンガーソングライターのさだまさしさんの作品。

大沢たかおさん主演で、映画にもなっている。

表題の「解夏(げげ)」他、3作品が収録された短編集。

主人公・隆之は、徐々に視力を失っていく病に侵され、仕事を辞め、

母がいる故郷の長崎に帰る。そこへ、東京に残してきた恋人の陽子が、

後を追いかけやってくる。

視力を失っていく事への恐怖、陽子や母に迷惑をかけて生きていくしかない自分に

対する悲しみ、隆之を支えて生きていく覚悟を決めてくれた陽子、母の愛、

思い悩む隆之は、とあるお寺で出会った老人の、「解夏(げげ)」の話に、

心を救われていく・・・・。

以前、映画の「解夏(げげ)」のCMを、TVで観て、

「解夏(げげ)って何だ?へんな響き。」という印象を持った記憶があったので、

古本屋で、ふと、この本が目につき、買って、読んでみた。

さだまさしさんの曲のように、なめらかで、綺麗な文章とストーリー。

「徐々に視力を失っていく」という、重い題材なのに、

雰囲気が綺麗すぎる上に、登場人物達が、ものわかりが良く、冷静で、大人な人ばかり

なので、気持ち良く読めたんだけど、小説としては物足りないというか、

メリハリがなくて、面白みにはかけるような気がした。

でも、他の3作品は、人間模様が上手く書かれていて、さだまさしさんの

小説家としての才能にびっくりした。

全体的に、優しい人がたくさん出てきて、後味の良い本だった。

どこか、「重松清さんを彷彿させる作品達だなぁ。」と、思っていたら、

解説が、重松清さんで、びっくりした。

 

 

 

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「悪夢のドライブ」 著:木下半太

悪夢のドライブ 悪夢のドライブ

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お奨め度:★★☆☆☆

売れないお笑い芸人のクマは、明日の生活費にも困って、

怪しい運び屋のバイトを始めるハメになった。

ピンクのキャデラックを、指定された場所にただ運ぶだけのはずが・・・・。

木下半太さんの「悪夢の・・」シリーズ第3段。

ハリウッド映画も、パート1、2がウケたからって、パート3を作ると、

たいていガッカリする内容になる。これもそんな感じ。

過剰な演出、多すぎる偶然、ドタバタすぎる展開、個性的すぎる登場人物達。

欲張りすぎて、お腹いっぱい。そのわりには、読後に何の余韻も無い。

ストーリーも前の2作に比べて、練られてないというか、浅い感じで、

サササーっと頭の中を通過してしまった。

3作目で読む方が慣れてしまっただけなのかもしれない。

ちょっと辛めの評価になってしまったけど、あくまでも私の超個人的な見解なので、

お許しを。

 

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«「みぞれ」 著:重松清