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2009年8月

「蒲公英(たんぽぽ)草紙 -常野物語-」 著:恩田陸

蒲公英草紙 蒲公英草紙

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お奨め度:★★★★☆

東北のとある農村の名家・植村家は、先祖代々、彼らの集落を守る役目を担ってきた。

植村家の末娘・聡子は、生まれつき心臓が弱く、病弱で、ベッドの上で暮らしていた。

聡子の主治医の娘・峰子は、そんな聡子の話相手になる役目を負う事になった。

聡明で可愛らしい聡子様のお相手は、峰子にとって、楽しい日々だった。

ある日、植村家に、不思議な家族がやってきて、離れの「天聴館」に、

しばらく住む事になった。その家族は、奇妙な力を持っていた。

そしてまた、聡子も・・・・。

なぜ、植村家は、その奇妙な家族を、手厚く迎えなければならなかったのか?

なぜ、植村家は、自らを犠牲にしてまでも、集落を守らなければならないのか?

前回読んだ「光の帝国」と同じ、「常野」からやってきた不思議な一族を

題材にした作品。今回は、長編。

「光の帝国」にも登場した、他人の記憶や感情を、自分にインプットする(=「しまう」)

家族。

でも、この作品は、その家族に、というよりも、第2次世界大戦が始まる前の

古き良き日本の時代や風景を書くという事に、重点が置かれているような気がする。

「蒲公英(たんぽぽ)」が、聡子と峰子の楽しかった少女時代の、イメージとなっている。

物語は、歳老いた峰子の回想録という形で、語られる。

冒頭は、峰子の語り調子に慣れなくて、ちょっと読みづらいと思ったけど、

中盤からの展開には、ついつい引き込まれて、最後は、涙してしまった。

「光の帝国」を読んだ時の「せっかくの題材なんだから、長編にすれば良かったのに。」

という不完全燃焼感を、拭う事ができて、すっきりした。

 

 

 

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「光の帝国 -常野物語-」 著:恩田陸

光の帝国 光の帝国

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お奨め度:★★★☆☆

「常野」から来たと言われる人々は、特殊な能力を持っていた。

書物を暗記する力、未来を見る力、遠くの出来事がわかる力・・・・、

その力故に、彼らは、利用されようとしたり、迫害を受けたりと、苦しんできた。

決して、ヒーローなどではなく、ひっそりと普通に生きて行きたい。

そんな「常野一族」の人々を、題材にした短編集。

読者と作家には、相性というものがあると思うが、恩田陸さんの作品を1冊だけ読んで、

なんとなく、「私とは相性が合わないなぁ。」と思っていた。

(うまく説明できないけど・・・)

夫が、この本を、「面白いよ。」と貸してくれたので、

「1冊読んだくらいで、固定観念を持つのはよくないな。」と思い、読んでみた。

特殊な能力を持った「常野」の人々。テーマは、すごく面白いと思った。

短編のひとつひとつの内容が濃くて、短編集にしてしまったのは、

もったいなかったのではないかと思う。

盛りあがってきて、いいところで、ブツっと終わってしまうような・・・。

不完全燃焼的な後味が残った。

文章も、短編ごとに、それぞれ微妙に技法が変えてあるので、

全体的には、同じ題材でありながら、ちぐはぐ、というかバラバラな感じ。

それが良いと思う方もいらっしゃると思うが、私個人としては、

せっかく面白い題材なので、統一感を持たせて、ひとつの大きな作品のような短編集

だったら、もっともっと面白く読めたのではないかと思う。惜しい。 

続編があと2冊ある。現在、読書中。

 

 

 

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「解夏(げげ)」 著:さだまさし

解夏 解夏

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お奨め度:★★★★☆

ご存じ、シンガーソングライターのさだまさしさんの作品。

大沢たかおさん主演で、映画にもなっている。

表題の「解夏(げげ)」他、3作品が収録された短編集。

主人公・隆之は、徐々に視力を失っていく病に侵され、仕事を辞め、

母がいる故郷の長崎に帰る。そこへ、東京に残してきた恋人の陽子が、

後を追いかけやってくる。

視力を失っていく事への恐怖、陽子や母に迷惑をかけて生きていくしかない自分に

対する悲しみ、隆之を支えて生きていく覚悟を決めてくれた陽子、母の愛、

思い悩む隆之は、とあるお寺で出会った老人の、「解夏(げげ)」の話に、

心を救われていく・・・・。

以前、映画の「解夏(げげ)」のCMを、TVで観て、

「解夏(げげ)って何だ?へんな響き。」という印象を持った記憶があったので、

古本屋で、ふと、この本が目につき、買って、読んでみた。

さだまさしさんの曲のように、なめらかで、綺麗な文章とストーリー。

「徐々に視力を失っていく」という、重い題材なのに、

雰囲気が綺麗すぎる上に、登場人物達が、ものわかりが良く、冷静で、大人な人ばかり

なので、気持ち良く読めたんだけど、小説としては物足りないというか、

メリハリがなくて、面白みにはかけるような気がした。

でも、他の3作品は、人間模様が上手く書かれていて、さだまさしさんの

小説家としての才能にびっくりした。

全体的に、優しい人がたくさん出てきて、後味の良い本だった。

どこか、「重松清さんを彷彿させる作品達だなぁ。」と、思っていたら、

解説が、重松清さんで、びっくりした。

 

 

 

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