「蒲公英(たんぽぽ)草紙 -常野物語-」 著:恩田陸
| 蒲公英草紙 |
お奨め度:★★★★☆
東北のとある農村の名家・植村家は、先祖代々、彼らの集落を守る役目を担ってきた。
植村家の末娘・聡子は、生まれつき心臓が弱く、病弱で、ベッドの上で暮らしていた。
聡子の主治医の娘・峰子は、そんな聡子の話相手になる役目を負う事になった。
聡明で可愛らしい聡子様のお相手は、峰子にとって、楽しい日々だった。
ある日、植村家に、不思議な家族がやってきて、離れの「天聴館」に、
しばらく住む事になった。その家族は、奇妙な力を持っていた。
そしてまた、聡子も・・・・。
なぜ、植村家は、その奇妙な家族を、手厚く迎えなければならなかったのか?
なぜ、植村家は、自らを犠牲にしてまでも、集落を守らなければならないのか?
前回読んだ「光の帝国」と同じ、「常野」からやってきた不思議な一族を
題材にした作品。今回は、長編。
「光の帝国」にも登場した、他人の記憶や感情を、自分にインプットする(=「しまう」)
家族。
でも、この作品は、その家族に、というよりも、第2次世界大戦が始まる前の
古き良き日本の時代や風景を書くという事に、重点が置かれているような気がする。
「蒲公英(たんぽぽ)」が、聡子と峰子の楽しかった少女時代の、イメージとなっている。
物語は、歳老いた峰子の回想録という形で、語られる。
冒頭は、峰子の語り調子に慣れなくて、ちょっと読みづらいと思ったけど、
中盤からの展開には、ついつい引き込まれて、最後は、涙してしまった。
「光の帝国」を読んだ時の「せっかくの題材なんだから、長編にすれば良かったのに。」
という不完全燃焼感を、拭う事ができて、すっきりした。
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